「 一期一会 」・・・ママとイチゴの入社

ある雨の日の夜、会社のすぐ近くのゴミ捨て場にダンボールの箱やゴミ袋が捨ててあった。「こんな時間にゴミが捨ててある」いつもなら気にもせずに通過してしまうのだが、なぜかその日はその箱がとても気になった。調べてみようと思い、ダンボール箱を叩いてみたけど反応は無い。"嫌な予感がする"‥ 箱を持ち上げてみるとずしりと重く、何か動物のような気がした。箱に耳を近づけてみると、微かに 「ミャ」 という弱々しい声が聞こえてきた。
“やっぱり猫だ ! しかもまだ生きている !! ”
ダンボール箱を抱え急いで会社に持ち帰り、箱を開けてビックリした!ダンボール箱の中には 猫が2匹!親子で捨てられており、母猫は逃げられないように洗濯ネットの中に詰め込まれ身動きが取れない状態であった・・・洗濯ネットから見える母猫の表情は、恐怖でおびえたすごい形相で震えるその顔が今でも忘れられないほどである。

子猫はあまり動かず、たまに少し動いてもその動きには違和感を覚えた。この猫の親子は、野良猫ではなく飼い猫だったと思われる。きっと信頼していた飼い主に,ある日突然暗い箱の中に閉じ込められたのだろう。子猫と親猫(身体を拘束された状態)はどんな気持ちだったのだろうか?そのことを考えると心が痛むと共に、こんな捨て方をした飼い主に怒りを覚える!あのままだったら翌朝ごみ収集車が来て、この猫の親子は死んでいたのである。・・・とりあえず、洗濯ネットの中に詰め込まれた母猫を出してやろうと袋のチャックを空けた瞬間、すごい形相まま勢いよく飛び出して逃げてしまった。

しかたがないので残された子猫を会社で一時的に保護する事にした。しかしその子猫は障害を持っていた。平衡感覚が悪いのか?下半身が悪いのか?真っ直ぐに歩く事もできず、動くたびに身体が大きく揺れてしまう。水を飲むにもエサを食べるにも大きく震える身体を抑えることができずにすごく大変そうであった。その姿は痛々しく、次の日すぐに動物病院に連れて行ったが良くなる見込みはないそうで、どうやら “後天性障害といい生れ持った障害ではない” と診断された。障害を持つ子猫の貰い手はないものの、このかわいい子猫をほっとく事もできず、従業員の賛同もあり、会社で飼うことになった。名前は「イチゴ」、一期一会の出会いにちなんでつけた。ちなみに母猫は「イチエ」という名前があったのだが、イチゴのママなのでついつい「ママ」と呼んでしまい、そのまま定着してしまった。
ニャ~ ・・・ニャ~ ・・・
それから毎日のように母猫(ママ)は裏庭から子猫を呼び、子猫(イチゴ)はそれに答えて鳴くので、扉を開けてイチゴを見せようとするけど、人を見るなりママはすぐに逃げてしまう。そんなことを繰り返しているうちに、すぐには逃げなくなり、人が近くにいなければ会社の中に入り、イチゴと触れ合うようにまでなっていった。‥数ヵ月後、ママが持つ人間への警戒心は徐々に薄れていき(表面上ではあるが・・・)、そしていつのまにか親子でベストに入社していた。イチゴはママが大好き!
「 小さな白い手 」・・・ユキオの入社

ママとイチゴが入社して1年後のある日の朝、会社のゴミを捨てに行ったときの話である。ゴミ捨て場のゴミ袋の間から、小さな猫の手が出たり隠れたりしているのが見えた。その小さな手は白くてピンクの肉球がとても可愛らしく、それは 小さな白い子猫 だった。状況を考えるとどうやら捨て猫らしく、手のひらに乗るほど小さなこの子猫は、そんな事も知らずにまるで遊んでいるようかのように見えた。このままではゴミと一緒に捨てられてしまうと思い、急いで会社に持ち帰り保護することにした。
あれ?

栄養失調ということもあり、早速エサをあげる事にした。よほどおなかが減っていたのか、子猫用のキャットフードをおかわりするほどの食欲で、食後はお腹がパンパンになっていた。その姿はぬいぐるみのようで、かわいい子猫のユキオは愛想もよく、すぐに従業員(人社員)のアイドル的存在となっていった。その反面、ママとイチゴ(猫社員)とは、争いはしないものの微妙な距離感があった。 それから3日後・・・・・
ん!ユキオはどこだ?

1日中何も食べていなかったせいか、お皿に入れたミルクは全部なくなってしまった。その後、椅子に座る私のもとに来て、ゴロゴロとのどを鳴らしながら、スリスリと身体を寄せて甘え始めた。私がユキオを膝の上にのせると、前足を左右交互に膝へ押し付けながら、じゃんけんのグーとパーをするような仕草をし、私の手のひらをチューチューと吸い始めた。それはまるで子猫が母猫から授乳を受ける時にする行動と同じようだった。その日以来、ユキオは愛想が良いだけでなく元気で甘えん坊な、どちらかというと犬に近いような性格になっていき、そして時間の経過と共にママやイチゴとも仲良くなっていった。
*1:くる病 とは、乳幼児の骨格異常。
主な症状として脊椎や四肢骨の湾曲や変形がおこる。
原因として、ビタミンDの代謝障害により、カルシウム、リンの吸収が進まないことによる骨の石灰沈着障害がもっとも知られる。 くる病(Rachitis)の語源はギリシャ語の背骨を意味するrhakhisから来た。
紫外線(日光)に当たることで体は7-デヒドロコレステロールより肝臓、腎臓での代謝を経てビタミンDを合成する。
このため、太陽に当たる量の少ない人、脂肪吸収障害、肝障害、腎障害などの基礎疾患のある人に発生しやすい。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』参照
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